狼の目に涙

バスに乗っていた時と同じように会話が途切れると、どちらも話を繋げようとせず、波の満ち引きの音に耳を澄ませた。


「三浪は…俺のこと、知りたいわけ?」

『は?』

「は?じゃねぇよ。昨日の熱のこと、聞こうとしてただろ」

『あぁ。佐々原くんが何で倒れたか知ってるかって、お母さんが私に聞いたの。気になってたから…でも言いたくないなら、聞かない』