狼の目に涙

フラフラしていると、私以外の砂を踏む足音が次第に大きくなり、突然右腕を掴まれた。


「全然歩けてないぞ(笑)ほら、腕貸すから」

『ありがとう…波が来るところまで歩きたい』


テレビでよく見る、砂浜に大きく存在感を放つ流木はどこにもなく、砂に直接腰を下ろした。

しばらく晴れていたから砂も湿っていない。


『潮の匂いとかはよく分かんないけど、ここにいると自然と笑顔になれる。良いところだね』

「毎日見てると、感動は薄れるけどな」