狼の目に涙

来る時は、佐々原くんの歩くスピードに合わせていたから気づかなかったけど、ほんの少し足を伸ばせば海が広がっている。

白い砂浜もあって、ちらほらと遊んでいる人も見える。


『ねぇ佐々原くん。海に寄っても良いかな?』

「…良いけど」

家に行く時よりだいぶ前を歩いていた佐々原くんに、大きめに声をかけて、道を挟んでバス停の向こう側の海に降りた。

佐々原くんも私の後ろをついてきて、一緒に砂浜に足をつけた。