狼の目に涙

『私、聞きたいです。佐々原くんが倒れた理由、教えてください』
「おい三浪、余計な詮索してんじゃねぇぞ。バス停まで送る。さっさと帰れ」

「雅。女の子にそんな言い方はないだろ」

「じゃあ親父も止めろよ……帰るぞ」

『…あ、うん。ごめんなさい。お邪魔しました』

「またいつでも来てね」


私の肩に軽くぶつかりながら、冷たく言い放って前を通り過ぎた佐々原くん。

慌てて後に付いて、バス停までの道をまた無言で歩いた。