「ちょっと、美也子さん、飲みすぎですってば」
「うん、知ってる」
「じゃあちょっとやめときましょうよ」
「うん、大丈夫」
「いや、大丈夫じゃないです。なんかあったんですか、ってあったからこうなってんですよね。どうしたんですか?」
「小峰くーん、もういやです。なにもかも。なんてね。うそです」
「言っちゃったほうが楽ですよ。聞きますよ。黙ってるし」
「あのね、小峰君にうそついてたことある」
「なんですか?」
「まえさ、話したじゃん。好きな人いるって。高校の後輩で小峰君のしらない人だよって。実はさ、小峰君もよく知ってる人なんだぁ」
「え?職場の人?」
「はい」
「え?誰?」
「えーと、すんごい年下の人。小峰君よりはちょっと上」
「え・・・もしかして・・・日陰さん?」
「あったりー」
「あ、なんか、隣の店長と付き合い始めたって・・・あっ・・・すいません」
「いや、それでー、こんなわけでー」
「うわー、ぜんっぜん気づかなかった」
「でしょ?さすがでしょ?」
「うわー、そうなんだ・・・美也子さん、それはもう、きっぱりあきらめましょうよ。ちょっとゆるせないなぁ、日陰さん。同性として」
「あー、まぁ私は感謝してるのよ。前話したみたいにさ。いろんなことでね。夢みたいに楽しかったひとときがあったからさ。たださぁ・・・目の前で展開するとなると、平気な顔でこれから仕事できるかなぁって自信なくなってきたよ」