「私ね、もう一生日陰君にはメールもしないし、仕事以外の話はいっさいしないって決めたの」
「え、なんでですか？友達としてなかよくなりたいって言ってたのに」
「うん、私は自分のことしか考えてなかったからね。いくら友達としてっていってもさ、彼女からしたら彼氏が過去に手を出した女がうろちょろしてるのっていやじゃない？」
「え、なんか言われたんですか？葉先さんに」
「なにか言われたわけじゃないんだけど、急にね、態度がちがうんだよね。私とは目を合わせないっていうか、かかわりたくなさそうっていうか・・・考えすぎなのかなぁ。でも明らかに話したくなさそうなの」
「バレたってこと？」
「どこからか伝わったんじゃないかな？日陰君が話したかも」
「えー、話すかなぁ」
「でもさ、葉先さんに対して本気だったら逆に話すと思わない？他から変に話が伝わるより、実は前にこういうことがあったけど、別に本気じゃなかったし、今はなんにもないからって」
「うーん、そういうタイプじゃない気がしますけどねぇ。俺達のほかに知ってる人いるんですか？美也子さんと日陰さんのこと」
「実は一番しゃべちゃいそうな奴が知ってるんだよね。一番くわしく」
「あー・・和也ね。確かに言うかも」
「しかもすごく大げさに悪い方向にいきそうなカンジにしゃべりそうでしょ。まぁあいつにしゃべっちゃった私がいけないんだけどね。あのときは仕方なかったんだよ。奴に聞いたんだから。日陰君が結婚するらしいよって話。そんな話聞いたら普通言っちゃうじゃん」
「まぁそうですよね。でも今この時期にしゃべるかなぁ。もし二人がだめになったりしたらしゃべるかもしれないけどね」