「その後、どう?」
「泣いたなー。こないだ」
「え?もうふっきれたんじゃなかったのけ?」
「うん、そう思ったけどね。目の前で見ちゃうとさ」
「あーそっか。同じ職場の人と付き合い始めちゃったんだっけ」
「うん、もう何があっても平気なつもりでいたのに、目の前で見たらグラグラきちゃった。そんで私の気持ちを知ってる同僚にメールしたの。涙が止まんないよーって。いい歳して・・・あ、これは禁句だったね。大人なのに、若い男の子頼りにして情けないね」
「いや、いーんじゃない。そこは美也子の得なとこだね。私達くらいの歳になるとプライドとかあって、若い子に弱み見せられなかったりするけど、美也子は平気だもんね。だから若い子達と一緒に遊べるんじゃないの?」
「遊んでるときはめいっぱいネエサンぶってるけどね。そんでメールの返事がさ、泣きたいときはいっぱい泣いたほうがいいですよ、って。だからね、駅のはしっこでぐしぐし泣いた。蚊に刺されまくりながらね。そしたらね、なんだかすごく気持ちがかるくなってさぁ。次の日はもう平気な顔で仕事したもんね。あんなに泣いたのがウソみたいに」
「そうそう、そういうもんだよ。誰かに泣いていいんだよって言われて泣くのって、いいよね。ちょっとその子にホレちゃいそうだね」
「でしょー、ちょっとグッときちゃうよねぇ。そうなったら、いいなぁ。ひっそり片思いするの。いいなぁ」
「いいねぇ。中学生みたいなね。そういうんだったら、同じ職場だろうが不倫だろうが友達の恋人だろうがなんだって許されるもんねぇ」
「中学生のときってさ、好きな子とオハヨってあいさつしただけで一日幸せでいられたよね」
「そうそう、消しゴムなんて貸してあげたらもう神様ありがとーっみたいなね」
「そんな気持ち持てたら、まだまだかわいく生きられそうじゃない?」
「うん、キュートにね」
「今までは生きるのに必死だったけど、これからはちょっとかわいくいきたいね」
「タフ&パワフル&エネルギッシュが私達のキャッチフレーズだったけど、プラスキュートでいこう」