「いつか、そう思えるときがくるのかな」
「うん、えりちゃんなりに、よかったって思えるときがくる」
「いつ?」
「わからない。でも、今すぐには無理だし、今すぐどうにかしようなんて思っちゃダメだよ。こういうときは、甘えられる人には全部甘えて、頼れるとこには全部頼って、どうしようもない自分を許してあげて。ただし、大人として許される範囲で。私はね、五年先には心から笑えるようになろうって、ずっと思ってた。そしたら意外と二年くらいでなんとかなったよ」
「二年かぁ・・・」
「でもさ、私は子供二人抱えて、バツイチの四十オンナだよ。えりちゃん、まだピチピチじゃん。全然私より立ち直り早いと思う。っていうか、かわいいから世間がほっとかないって」
「はぁ・・・」
「そんなこと言っても今はピンとこないよね」
「はい」
「あのね、泣きたいだけ泣いたらね、寝る前に唱えるの。止まない雨はない、終わらない冬はない、明けない夜はない。って」
「・・・・・」
「あのね、店頭で泣かないで、倉庫で泣こうか」
「はい、ありがと、ございます・・・」
「少しずつ、一歩ずつ、元気になろう」
「はい、まず、ケータイ買います」
「うん、そうだよ。そうして。連絡つかないとこまるから」