「かわいいなんて言ってくれるの、美也子さんと、あともうひとりだけですよ」

でたっ。もうひとり。言ってくれるのね、かわいいって。そー言えば私も一回だけいわれたぞ「美也子さんって、なにげにかわいいですね」って。忘れませんよぉ。

「私も探さなきゃな。かわいいって言ってくれる人。尊敬しますとか、強いですねとか前向きですねとか、そんなんは飽きるほど言ってくれる人いっぱいいるんだけどね」
「でも女って、やっぱりかわいいって言われたいですよね」

うん、言われたい。葉先さんはホントにかわいいな。でも私みたいに強くなさそう。不安にならないように、大事にしてあげないと崩れちゃいそうだな。大丈夫なんでしょうねぇ・・・日陰くん。

「美也子さんは、全然いないんですか。そういう人」
「半年前にね、かわいいって言ってくれた人がいたんだけどね、その人は今ちがう人とつきあってるの」
「そうなんだ。つらいですね」
「まあね、でももう大丈夫。私忙しいからね。働いて、お母さんとお父さんと両方やって、自分の趣味にも夢中だしね。オトコにフラれたくらいでいつまでもグダグダしてらんないもん」
「フラれちゃったんだ。最近」
「ちゃんとフラれさえしなかったな。付き合ってるわけでもなかったから。向こうはたまたま寂しくて、それを埋めるのに私がちょうどよかったって感じだよ。きっと寂しくなくなって、フェイドアウト」
「えー、なんかそういう男の人ってサイテー」