「あれ、なんかやけにすっきした顔してるね」
「うん、ふっきれた、かも」
「へぇ、そのココロは?」
「あのね、あの人隣のショップの店長と付き合い始めたんだって」
「でぇえええ、ちょっとそれはないでしょー。きっついねぇー」
「そしてね、本当は去年辞めた前の隣の店長と結婚するはずだったってウワサとね、同じ頃辞めてったメイク売り場の子とも付き合ってたらしいってウワサとね、入社当時はとにかくいろんな人に声かけまくってたってウワサが同時に耳にはいってきたんだよね」
「うわー、お気の毒に・・・・」
「うん、きつかった。まあさー、ウワサが全部本当かどうかはわかんないけど、まったく何もないわけはないと思うんだ。だって私に対してしたことを考えてもさ。そんで、同僚と飲んで暴れて一晩泣き明かして、脱出した。スゴイでしょ?サスガでしょ?やっぱ子ども育てた女は強いよ」
「へー、なんか強がりじゃなくて、ほんとに大丈夫そうだね」
「うん、たぶん、ね」
「あれ?ちょっと怪しくなってきた」
「まあさー、だってさー、100パー平気な顔で仕事できるかなぁ、ってちょっと自信ない。でもさ、笑顔命の商売だしね。私情は仕事にいっさい持ち込まない主義だから」
「うんうん、大人だね。えらい。でも、その相手の人とも話すことあるんでしょ?」
「うん、もちろんさ。隣のショップっていったって、あんな平場じゃお客様から見れば同じ売り場みたいなもんだから、お互い協力して売り上げとらなきゃやってけないもん」
「はぁー、ま、がんばれ、としか言い様ないなぁ」