「っ、春日⁉︎どうした?どこか痛むのか?」

やっぱり夏休みのことがフラッシュバック

して、心臓がキュッと縮んだ気がする。

「ご、ごめん!なんでもないんだけど……

ただ、嬉しくて」

嬉しい……?

何を言っているのかわからない、と言う顔を

すると、春日は言葉を選んでいるのか、

宙を見つめている。

「お母さんやお父さん、看護師さんたちは

みんな、冗談を言ってくれないから。

冗談を言うと、私が傷つくと思ってるみたい」

悲しそうにそう話す春日を、なんとなく抱き

しめたい衝動に駆られる。

……ダメだよな。

うん。だめだ。

「……?」

突然の欲望を消し去ろうと頭を振ると、

春日は怪訝そうに眉を寄せた。

俺だってしたくてしてるわけじゃねえよ。

「じゃあ俺が冗談をいっぱい言ってやる。

お前のことを心配する大人どもの言葉なんて

聞こえなくなるくらい。だか———」