甘い体温


だけど今は仕事中


なんとか冷静さを保ち、診察を続けた


『だいぶ扁桃腺も腫れてるし、熱も高いので、点滴を打った方がいいと思いますけど、どうしますか?』


『あー…じゃあ…それで』


『じゃあすぐ準備するので、一度待合の方で待っててください
それと薬はとりあえず一週間分を……』


『あの』


『え?』


そう言って、俺の言葉を遮った彼女に真っ直ぐ見つめられて


俺はまたしても冷静さをなくしそうになった


その瞳があまりに綺麗で、吸い込まれそうだったから


『薬…錠剤だと、飲めなくて…』


『え?』


『いや…だから、あの…』


俺から視線を逸らし、少し恥ずかしそうそうにする彼女に、なんだか少し、笑みがこぼれた


いくら外見は大人びていても、不意に見せた彼女の幼さにほっとして、何だかそのギャップが無性に可愛く思えた


『はは、分かりました、じゃあ錠剤の変わりに粉の方を出しておきますね』


『…はい』


そんなやり取りで診察は終わり、彼女は椅子から立ち上がり、診察室のドアのほうへ向かう彼女


だけど…



『あの!』



今度は俺が、無意識に彼女を呼び止めていた


彼女の後ろ姿を見たら、急に声をかけずにはいられなくなったから