甘い体温


俺はそれ以上、彼女の顔がまともに見ることが出来なかった


必死で平然を装うと、いっぱい、いっぱいだった


……なんだよ、これ


どうしちゃったんだよ俺


こんなの俺らしくもない


今まで女を目の前にして、こんな気持ちになった事なんか一度もなかった


いつも冷静で、どこか冷めて見ていたところがあったから……


俺は昔からこの容姿もあってか、女に不自由した事がなかった


俺が何も言わなくとも、気づくといつも向こうから言い寄ってきた


そのたびに俺は特に考える事無く、それをただ受け入れてきた


だけど…


今まで一度も本気で好きだと思える女はいなかった


ほとんどの女が俺の肩書きと、金めあてだったから


そんな奴らばっかりで、俺の中身を見ようとする奴なんていなかった


正直最近はそんな関係に、俺自身嫌気をさしてうんざりしていた


そんな時だった


だから正直戸惑った


患者をそんな目で見るのは俺の中ではありえないこと


ましてや10才も年の離れた、今会ったばかりの彼女に俺が?


だけどなぜだか果歩には惹かれるものがあった


正直俺自身も驚きを隠せないほど


これを世間一般から見て言うと一目ぼれとでも言うのか?


こんな気持ちになったのは、生まれて初めてのことだった