果歩と初めて会ったのはちょうど一年前
雪が降りそうで、降らないそんな寒さを増す季節
『三月さん中へどうぞ』
俺は医者で君は患者
俺にとっては当たり前のように毎日出会う患者の中の一人に過ぎなかった
……のはずだった
『今日はどうしました?風邪ですか?』
俺の問いかけに顔を上げた果歩と不意に目が合った
ドクン!
えっ?
その瞬間、何故だか分からないが、今まで感じたことのない胸のざわつきを覚えた
年齢の割りに大人びた容姿
色鮮やかな茶色みを帯びた長くて、綺麗な髪
俺を真っ直ぐ見つめる熱で潤んだ瞳
けれどそれは冷たく、どこか寂しそうで……
でも真っ直ぐで、必死で生きてる瞳
そんな瞳だった



