――…えっ?
気付いたら、私はまた陽生の腕の中に抱き寄せられていた
きつく、だけど優しく陽生は私をさっきよりも強く抱きしめる
ドクンッ!
『…や!』
その瞬間、私はさっきよりも一層胸が締め付けられて、必死で陽生から逃れようと抵抗した
私の余裕を無くした声が、広い部屋に響き渡る
やだ
そんな瞳で私を見ないでよ
そんな顔して私に触れないでよ!!
『…かほ…』
『もうやめてよ!ほっといてよ!
何で私にそんなに構うのよ!あんたは一体何がしたいの!?
私をどうしたいのよ!!
まさか本気で私が欲しいとでも思ってるわけ!?』
もうやだ
何で私がこんな男に振り回されなきゃいけないの!!
どうせさっきの言葉だって、偽善から出てきた言葉
誰も
『誰も本気で私の事なんか見てくれないくせに!』
だから私は……
『欲しいよ』
もう誰も求めたりなんかしないって誓ったの
『たまらなく果歩が欲しい』
誰も愛さないって
私の心はあの日に全部捨ててきたの



