甘い体温


『だからさ…もう他の男と会うなよ、そんなことするな』


『……』



陽生の低く切ない声


その声を聞いた瞬間、私の中で音をたてて何かが崩れるのを感じた



『…や、やめてよ!!』



気づいたら、私は力のままに陽生をおもいっきり突き離していた



『もう本当、何なのよ!?いい加減にしてよ!!

何の権利があってあんたなんかにそんな事言われなきゃいけないの!?

あんたに私の何が分かるのよ!?

私の事なんか何も知らないくせに、知ったような口たたかないでよ!!』



こんなに腹がたつのはいつぶりだろう?


自分の体温が一気に熱くなるのを感じて


心が震える



『好きでもない奴と体重ねて楽しいかって?

そんなもの考えるまでもない!

求められるからそれに答える、ただそれだけのこと!

所詮みんな自分の欲求を満たしたいだけのことでしょ!?

あんただってそうでしょ?

そこに温かみもなければ、愛なんてない!

それに私はそんな甘っちょろい関係なんて最初っから望んでないの!!

分かったらもう私の事はほっといて!これ以上私の中に入ってこないで!!』




もう止まれなかった


頭で考えるより先に感情が私の口から飛び出してくる


こんなに自分の感情がコントロールできないのは生まれて初めてだ


こんなの自分じゃないみたい


だけど言わずにはいられなかった


どうしてか無性に悔しくて


言わなきゃ自分がどうにかなってしまいそうだったから