甘い体温



キスマークなんていかにも「俺の所有物」って言われてるみたいでうっとおしい


私は誰のものにもならない


独占されるのも、縛られるのもキライ


もちろん独占するのも、縛るのもキライ


誰かに縛られて生きる人生なんて私はまっぴらだ



信じられるのは自分だけ




――…私は自分の為にだけに生きていく










私は着替えると化粧をし、胸の辺りまであるモカ色の長い髪をゆるめに巻いてアパートを後にした


私が向かう所はいつものお決まりの場所


此処にくれば大体の確立で今日のご飯と寝る所にありつけるから


12月の夜はさすがに寒い


白い息が宙を舞う


コートを着ていても風の冷たさを痛いほど感じる




だけど、私は温かさを求めたりはしない


だって私を芯から暖めてくれるものは今居るこの世の中にはどこにもないから…