甘い体温



『帰さねぇよ』



『えっ…』


突然手を掴まれ引っ張られたと思ったら


『!!』


次の瞬間、気づくと私は陽生にぎゅっと抱きしめられていた



……え?



『ちょ、ちょっと何す……』


驚いた私は、慌てて陽生を押し返そうと手に力を入れる



『や、離して…!』


だけど…



『やだね』



そんな私に反するように、抱きしめる陽生の腕が強くなる



『離さない』


『なっ!』



そう言って陽生は逃がさないようにさらに強く私を抱きすくめてくる



『や…やだ!』



いくら私が力を入れてもびくともしない


それどころか、逆に私が力を入れるほど陽生の私を抱きしめる力は強くなる



もう一体何なのよ!


本当にもう!



『いい加減に……』


『もう俺以外の男と会うなって言っただろ?』


『えっ』


『好きでもない男と体重ねて楽しいか?』


『えっ?』



予想もしてなかった陽生の言葉に、抵抗していた私の手が思わず緩む



『そんな事繰り返しても何の意味もないだろ?余計自分を見失うだけだぞ』


『な…なに言って……』


『俺はもうお前にそんな事して欲しくない…てゆうかさせたくない!もっと自分を大事にしろよ』


『……』



陽生の初めて聞く真剣な声に、思わず息を呑む


何故だか胸をグッと締め付けられて、急に苦しくなった