『はい、赤外線送信っと♪』
言いながらピっピっと手慣れた感じでボタンを押し操作する陽生に、私は目を丸くする
『ちょっと!何やってんのよ!!』
私は慌ててベッドから立ち上がり、そんな陽生の傍に詰め寄った
『はい、俺の番号とメアド入れといたから』
『は?』
そう言うと、陽生は至って冷静な笑顔で私にケータイを差し出してくる
そんな陽生に私はすかさず言葉を返した
『は?ちょっと!なに勝手に番号登録してるわけ?!
てゆうか、何で人の電話に勝手に出てんのよ!?』
しかもいつから私はあんたの家の子になったわけ!?
私は気持ちを抑えられず、怒りに任せて陽生にまくし立てる
『まじありえない!』
もう我慢の限界
何考えてるのよ、こいつは!!
『お、そんだけ怒る元気が出てきたなら、もう体調の方は大丈夫そうだな』
『は?何言って…今はそんな話ししてるんじゃない!急に勝手に話をはぐらかさないで!』
表情一つ変えない余裕の陽生の態度に、さらに私は苛立ちが増す
『もう、本当にいい加減にしてよ!何考えてるのか知らないけど、もう無理!もう限界!』
もう、マジやってらんない!!
『あんたなんかに付き合ってると頭が変になりそう!私帰る!!』
部屋に私の怒りの声が響き渡る
私は思いっきり陽生を冷たく睨みつけると、陽生の横を通り過ぎ、ドアまで向かう
そして部屋を出ようとドアに手をかけた
だけどその時――…



