『ふ〜んそっか…』
少しの沈黙の後、一言だけそう言葉を発した陽生
何故が意味深な声
私はあえて陽生の方を見てないから今こいつがどんな顔してるか分からない
でも、少しでも同情まがいの言葉や態度をとるようなら私は…
『じゃあ安心だな』
『えっ』
『それなら安心してここに心置きなくいられるな』
『へっ?』
そう言うと陽生は私に柔らかな笑顔を向け
『あ、そうだ』
そして何かを思い出したかのように立ち上がり、不意に私の方へ近づくと
突然悪戯っぽく私の耳元で低く囁いた
『覚悟しとけよ果歩』
『え?』
思わず私は嘆かれた耳を手で庇う
『そういうことなら遠慮はしない、遠慮なくやらせてもらうから…』
『えっ?』
『なんか楽しくなりそうだな〜
じゃあ俺はまだ隣の部屋でやる事あるから、何か困った事があったらすぐ俺を呼んで』
『は?』
そう私に言い残すと何食わぬ顔をして陽生はベッドルームから出て行ってしまった
『え??』
私はその様子をただ呆然と眺めるしかできなくて……
何あれ?
楽しくなりそうって…何が?