『だから、もう名前で気安く呼ばないで!』


私には名前なんて無くていい…


『…ふ〜ん』


『……』


『分かった、じゃあその代わり、俺の事陽生って名前でよんでよ』


『えっ』


ずっと無言で私を見つめていた陽生が、突然意味深な顔で口を開いた


『あんたじゃなくて俺の事名前で呼べよ、そしたら俺も、お前のことは三月って呼ぶから』


『は?何言って…』


なんで私があんたの名前を?


『そんなの無理だし』


絶対無理だし


てゆうか


何故いきなりそういう話になるの?


『何で私があんたの名前なんか呼ばないといけないのよ!?』


あんたの名前なんて口が裂けても絶対言うわけないでしょ!


『絶対嫌!』


『ふ〜ん、あっそ、じゃあ俺も無理』


『は?』


『果歩が無理なら俺も無理』


そう言うとうっすら笑みを浮かべる陽生


『な!』


『残念だけど交渉不成立ってことでしょうがないんじゃない?
諦めるしかないね果歩ちゃん』


そう言って、陽生はわざとらしく残念そうな顔を私に向けた


何よそれ



『あ、あのねぇ~…』


『ま、そう言うことだから気にするな』



ムカツク


やっぱりムカつく!


私は思いっきり不機嫌に陽生を睨みつけた


ダメだ…


この男とは一生分かり合えない気がする


てゆうか、分かり合いたくもないけどね



『勝手にすれば!』



もう呆れてものも言えない


バカバカしくてやってらんないよ


本当いい性格してるよ、こいつは……