『…それに?』


『私、この名前キライなの!』


私はそう言うと、真っ直ぐ陽生を見つめた


そう、私は果歩って言うこの名前が大キライ


だって


あの女が私に付けて呼んでいた名前だから……


子供の頃、不意にあの女に言われた事がある



「果歩って名前はママが付けたのよ、可愛いでしょ」



それはあの女が酔っぱらって、珍しくご機嫌な時に言われた気まぐれな言葉


一度も愛されたことなんかない名前


だから、私は自分の名前が嫌でしょうがない


今まで関わった男にもあえて教えたりはしなかった


だからこの先も自分の名前に触れたくもないし触れられたりもされたくない