甘い体温



『はぁ…』



私は全身が映る鏡の前に立ってため息を吐いた



――…最悪



見るとそこには、胸の辺りにキスマークが一つくっきりと赤く色づいていて…


思わず眉間に皺が寄る


今朝の男とは2,3回程度体を重ねただけの相手


別に好きでもなければ嫌いでもない


いわゆるどーでもいい男


ご飯と一晩寝る所さえ提供してくれれば私にとっては誰でもいい話し


ご飯はお金を浮かせたいからで、寝る所はただ単にこの家にあんまり居たくないだけのこと


この家に居るとどうしても私を捨てたあの女の面影が残ってる気がして寒気がする


本当は一日だって早くこの家から出て引っ越したい


だけど、まだ未成年の私には部屋を借りる事も出来ない



親の承諾が必要だから…



今の私には何の力もないから、どうする事も出来ない


自分の無力差を嫌ってほど痛感する




……早く大人になりたい




いつもそう思ってはやり切れない思いに苛立ちが募っていく





それにしてもあの男


たかが数回寝たぐらいで彼氏づらされちゃたまんない