甘い体温


こんな男が医者だなんて世も末だ


『じゃあ…』


こんな男に診察されるぐらいなら、死んだ方がまし


私はすぐさまくるっと向きを変えると、この部屋から出ようと背を向けた


だけど、突然眩暈に襲われて、私は思わずその場にしゃがみこんでしまった


『…っ……』


立ち上がりたいのに、だるさで体が言うことをきかない!



やば…気持ち悪い…



『ちょ、おい?!』



そんな私の様子に慌てて歩み寄り、陽生が私の肩に手をかけた



『だいじょう……』


『触らないで!』


『えっ』


『私に触らないで!!』



だけど私は掴まれていた陽生の手を思いっきり振り払い、またその場にうずくまった


やめてよ


あんたとはもう関わりたくないの!



『……』



私の突然の怒鳴り声に、陽生も看護婦も目を丸くして驚いている


もう、ほっといてよ…