甘い体温


直輝にタクシーを頼み、そんな淡々な当たり障りのない会話をして電話は切れた


相変わらずいい加減で適当な奴…


そう思いながら、ケータイを適当に置いた





坂下直輝(さかした なおき)


私より一つ年上で、同じ施設仲間、だった奴


友達を作らない私が、昔から唯一連絡を取り合ってる相手


と言っても、お互いたまに気が向いた時にしか連絡しないけど


俗に言う、世間一般から見たら幼馴染とでも言うのか…


私も直輝も人に深入りするのが好きじゃないから、お互いを干渉する事はない


無論、男女の関係も無ければ恋愛感情なんかある訳無い


適度なあっさりした関係


そんな関係だから、人間嫌いな私でも今までずっと付き合って来れたんだと思う


特に悪い奴でもないしね









なんだかんだそんな事をボ〜っと考えてたら、突然家のチャイムが鳴った


いつの間にかタクシーが着いたみたいだ


熱のせいか、頭がボ〜っとして時間の感覚があまり無くなっていた


私はだるい体を無理やり起こし、適当に服を着替えると、少しもたつきながらもタクシーに乗り込んだ