『…直輝?』
出ようか迷ったあげく、結局私は通話ボタンを押した
通話口から聞えてきたのは、久しぶりに聞く相変わらずやる気のない声
『…直輝、どうしたの?』
私はベッドに横たわりながら、携帯を耳にあてがった
『いや、特に用はねえけど、今日お前学校来てないだろ?つーか何その声、風邪か?』
私のかすれた声を聞いて、すぐに状況を判断したらしい、不思議そうに聞いてくる
『ん…そーみたい…
てか、直輝学校来てんの?めずらし』
『ま~な。たまにはな…てか、もう帰るし』
『あっそ…』
『つ~か、お前体平気?少しだけなら時間あるから、今からそっち行こうか?』
『いや、いい…どうせ今からどっかの女にでも会うんでしょ?
こっちは何とかなるし、無理しなくていいから…』
『…そーか…ならいいけど』
直輝は昔から私の性格を知ってるから、無理には私に気を使ってこない
『けどやっぱ、一つだけ頼みたいんだけど、タクシーを家の前まで呼んでくんない?
病院行きたいんだけど、さすがに今日は歩くの辛くてさ…』
本当はあんまりお金使いたくないけれど、今日はしょうがない
『おう。分かった。タクシーな』
『じゃあよろしく…』



