甘い体温



施設に入ってすぐ、さすがの母親も少しは反省したのか、すぐに私を迎えには来てくれた


まだ幼い私にとっては、母が私を迎えに来てくれた、という事ことがただ嬉しくて素直に安心して喜んだりもした


でも…


そんな嬉しさはすぐに消えていく


すべては全部、女の気まぐれ


かまいたい時にかまって、かまいたくない時にはかまわない


そしてまた私は放置される


一度も抱きしめてもらった記憶もなければ、愛情なんてものを感じたこともない


いわゆる育児放棄


施設に入っては出ての繰り返し


中学まではそんな生活を繰り返していた


そのうち、次第に私は女には何も期待しなくなった


あえて考えるのもバカバカしくなってやめたんだ


そんな日々が続いて…





13才の冬


私は本当に捨てられた



「元気でね果歩」



最後にそう一言だけ残して、家を出て行った母


私に残されたのは、机に置かれた通帳と、置き去りの家具と、空気の汚い部屋だけだった