甘い体温



この目がクリクリの綺麗な毛並みの犬種はダックスフンド


私の相棒



…私の唯一の家族



ふらっと何気に入ったペットショップでブラウンと出会い、一目見てこの子が気に入った


大きなクリクリの綺麗な瞳に吸い寄せられるように私はブラウンを手にしてたんだ


茶色い毛並みがすごく鮮やかで気持ち良かったから、名前は単純にブラウンにした


そして今そんな相棒のためにご飯を用意してる私は


三月果歩(みつきかほ)17歳




親はいない




他の身内や親戚もどこで何をやってるのか知らないし


実際そんな人たちがいるのかどうかさえ分からない


私がまだ幼い時に父親は突然母と私を置いていなくなり


13歳の時に私は母に捨てられた


心ばかりの通帳と印鑑だけ私に残し、「これで自由に生きなさい」と言い残してあの女は私の前からいなくなった



ああ…またか…



私が物心ついた時から女は私を育てるのを放棄してる


ろくに炊事洗濯をする事も無ければ、ほとんど家にはいなかった


いつも一人お腹を空かせて泣きながら寂しく母の帰りを待っていた



そんなある日、さすがの近所の人が変に思ったのか、心優しい誰かが通報したんだと思う


私は一時の間施設に預けられていたりもした