甘い体温



『冷たい瞳』


『え…?』


『その瞳…
人も、何も信じてないって瞳だな…』


『……』


そう言うと、フッと柔らかく表情を崩した陽生


『…だったら何?それが何よ…
人なんか信じても何の特にもならないじゃない』


これは今まで生きてきて学んだこと


だけどその私の言葉を聞いた途端


『なんの得にはならない…か』


何故だか陽生の私を見つめる瞳がが淋しそうに光った気がした


『別に…俺は何も企んでないよ、そんなつもりはさらさらない
…俺はただ…』


陽生は優しい眼差しで私の頬をそっと撫でた


『ただ単純に三月が他の男に触られるのが嫌なだけ』


『えっ』


『それだけだ』



そう言うと陽生はやっぱり寂しそうに笑った



…何それ?



『それが俺の素直な気持ち』



嘘つき


良く言うよ



どうせいろんな女に同じ事言ってるくせに…



『意味…分かんない、そんな言葉…あんたみたいな怪しい男なんかの言葉なんて信用できるわけないじゃない』



何故か私の声が少し震えてるのに気づく



それでも


私は騙されない


絶対騙されないんだから



たった一晩一緒にいただけのあんたの言葉なんか信じない!