甘い体温


私の口はもう、自分の意志とは関係なしに訳の分からない事を発するばかりで


仕舞いには、陽生とまともに視線を合わすことさえできなくなって、顔を背ける始末


けれど、そんな私に



『果歩』



陽生が再び優しい声で私の名前を呼び、指で私の顎をそっとすくい上げるから


私の口は一瞬にして動きをなくしてしまった




『俺と一緒に暮らそう』




そんな私に止めの一言



『言っとくけど、お前の返事聞くまでここから帰さねぇぞ?』


『え?』


『ていうか、たとえ嫌だっつても、もう帰す気なんて更々ねぇけどな』


『へっ?』



そう言うと陽生は目を細めて笑い、私の額に軽く唇を落とした



『…はるっ……』



そんな陽生に、額から流れ込む熱い感情を、もう私は抑えることなんか到底できなくて……



瞳からは、また当たり前のように、涙が零れ始めた