『バカだな……』
笑いながら耳元で囁く陽生
『本当泣き虫だな…果歩ちゃんは…』
「ま、そんな所も可愛いけど…」と呟きながら、私の頭をあやすように優しく撫でる
だけど私は……
『や、やめてよ!…っ離して!!』
そんな陽生を振り払うかのように、体を捻り、抵抗した
…バカ!
明日から居なくなっていうのに、優しくなんかしないでよ!
余計辛くなるじゃない!
残される私の身にもなってよ!
それなのに、陽生の腕はそんな私に反するように抱きしめる強さを増す
『はるっ……』
『離さねーよ!』
『!!』
そう言うと、さらに私をぎゅっと抱きしめる
『もう絶対離さないって言ったろ』
その声に、ビクンと私の鼓動が飛び跳ねる
『…で、でもっ…明日からボストンに行っちゃうんでしょ?』
私は陽生の胸に顔を埋めたまま、弱々しく声を出した
それはもう、どうすることもできない事実じゃない



