甘い体温


そんな私に気づいた陽生もまた、動作がストップして、ソファーに座ることなく私の方を見た



『…果歩?』


『陽生、あれって……』



けれど私は陽生の言葉を遮るよう、その荷物の方を指差した


なんだろう


なんだかすごく嫌な予感がする……


今まで穏やかだった心臓が、急に荒く動き出す




だって


私が指差したそこには、荷造りしたスーツケースが置いてあったから


『…陽生?』


私はすぐさま、スーツケースから陽生の方へ視線を移すと、思わず陽生の袖をぎゅっと掴んだ


不安が体中を駆け巡る


それに気づいた陽生もまた、急に真顔になる


そして何故か、袖を掴む私の手を無言で上からそっと包み込んだ



『はる……』


『実はさ、俺……』



陽生の真剣な瞳が、私の言葉を遮るように、真っ直ぐ私の瞳を貫く


お願い


何でもないよって言って?




『明日から、ボストンに行くんだよ』