『お前があの部屋に行きたいって言うんなら、いつでもまた連れてってやる』
『え?』
『お前だけじゃない、俺にとってもあの部屋は特別な部屋だから…』
そう言って、私の瞳を真っすぐ見つめてくる陽生
『好きな女と過ごした大事な場所だ』
『…はる……』
『今まで生きてきた中で、一番愛しい時間だったよ』
陽生は目を細め優しく微笑むと、私をさらにぎゅっと抱き寄せた
『だからと言ってこれで終わりじゃない、俺たちにはまだ始まったばかりだろ?
この先いくらだってかけがえのない大事な時間を作っていけれる、今まで以上に愛しい時間をな…』
今まで以上に愛しい時間を……
『言ったろ?2人で一緒に生きてる意味を探そうって…』
『……』
『俺達はまだまだこれからなんだよ…
お前が望めば、この先楽しいことなんていくらでも待ってる
2人の気持ち次第で世の中いくらでも楽しいものに変えられるんだよ』
『…陽生……』
『だからそんな寂しそうな顔するな』
『……』
『俺は逆に感謝してるぐらいだよ…人を好きになる喜びや苦しみを初めて知れたからな』
そう言うと、陽生は私の頭に自分の頭をくっつけた
そんな陽生の温もりにじんわりと私の体が温められていく…
本当…
陽生の言う通りだ
私達はまだ始まったばっかり
こんな事でいちいちべそべそしてたら、この先、きりがないね
この2カ月があったから、今の私がいる
今の私がいるんだ
感謝してもしたりないぐらいだよ……



