甘い体温


『…え?…ここって…』



目の前の、初めて見る建物に私は驚き、思わず陽生の方へ顔を向けた


私は今、陽生の車の中


あの後



“一緒に帰ろう”と言われ、仕事が終わるまで院長室で陽生の帰りを待っていた私は


仕事を終えた陽生と一緒に、目的地まで帰って来た


だけど、連れてこられた場所を見て私は頭に?マークを浮かべるばかりだった



だって、連れてこられた場所は、今まで来たことも無い建物の中の、駐車場


私が想像していた場所とは、全く違っていたから…


いつものようにまた、あのホテルに帰るもんだと思っていた私は、車のエンジンを切ろうとしている陽生の腕を戸惑いながら引っ張った



『…陽生?』


『ん?』


『ここって……どこ?』