甘い体温


なるほどね…



『…そう…だったんだ…』


『そう』


『で、その婚約者のふりは上手くいったの?』


『ああ、おかげ様で』


『…そっか……』




そういうことだったんだ…


じゃあ、つまりは沙織さんとはただの婚約者のふりだけであって、2人は別にそういう関係じゃないってことなんだ



何だ


そうなんだ……



私の口から思わず安堵の溜息が漏れる


なんだそういうこと…



”よかった”と頭の中で呟きかけた、でもその時



ん?あれ?



だけどほっとしたのもつかの間


ちょっと待って?


なんか腑に落ちないところが…



『ねえ、でもちょっと待って』



そう思った私は再び陽生に向かって言葉を続けた



『ん?』


『婚約者のふりは上手くいったんでしょ?』



なのに



『何で今もまだ婚約者のふりなんてしてるわけ?』



そうだよ


私と会う半年も前の話しでしょ?


とっくに問題は解決してるはずなのに


それなのになんで今もまだ婚約者のふりを?



私は首を傾けながら陽生の方を見た


するとそんな私に気付いた陽生もまた私の方に視線を向け


「あ〜それな…」と気まずそうに呟くと、不意に私の腰に手を回し、そのまま抱き寄せた


そして「実はな」と再び口を開くと、私が納得するように、沙織さんとの事を包み隠さず話しだした





それは


以外にも、沙織さんがその仮の婚約者の関係を気にいってしまったってことだった


その理由は単純で、単に他の男が寄りつかないようにするためだとか?



沙織さんいわく



陽生という婚約者がいると、何かと近寄って来る男を断るにはとても都合がよかったらしくて


そして陽生もまた同じように、婚約者が居ると噂を広めておけば、何かと便利で都合がよかったみたい