甘い体温



『…やっ…はるきっ…!』


私は耐え切れず陽生のその手を咄嗟に掴んだ


『ちょっ…待って……』


首筋に顔を埋める陽生に、無くしかけた理性を必死にかけ集めたような声を向けた


正直陽生とこうして触れ合えるのは嬉しい


こうして陽生が私を求めてくれるのはたまらなく嬉しいよ



でも…



『…何?』


陽生は首筋に顔を埋めたままそんな私に声だけを向けてくる



『ここ…病院……』



そう、此処はあくまで病院で


いくらお互い気持が高ぶってるからって


さすがにこんな所でするのはまずいんじゃ…



……てかまずいでしょ?



いつ誰が入って来るのかも分からないのに……


それなのにそんな私の心配をよそに返ってきた陽生の言葉は


『だから?』


と、さらっとした何でもないようなもので


私の手を無視してさらにスカートの奥へと手を忍ばせてくる


そしてついには私の肩にもう片方の手をかけ


いつの間にかボタンが全開になったシャツをするりとそのまま床に滑り落とした



『はるっ……』


『鍵かけてあるから大丈夫だろ』


『え?』



陽生は不意に手を止めると突然私の両脇を持ってヒョイっと体を抱き上げた



『…ちょっ!?』


『それにこの時間ならまだ誰も帰って来ないし
居るとしたら姉貴ぐらいだから安心しろ』



そう言って、驚く私を抱き上げたまま何故か部屋の真ん中へと歩き出す陽生



『果歩が声出さなきゃ大丈夫』


『えっ』


『ていうか、あんな可愛い声聞かされて今更辞められると思う?』


陽生は耳元でそう意地悪く囁くと私をクリーム色のソファーにゆっくり寝かし倒した