甘い体温

甘い体温

部屋を出るなり私はケータイを取り出し、陽生に電話をかけた


だけど電源は切られていて


陽生の声の代わりに、無機質なアナウンスが聞こえてくるだけだった


陽生が電源を切ってるなんて珍しいなと思いながらも


電話がダメなら直接行くのみ


きっとこの時間なら病院に居るはず


この際、仕事だろうが何だろうが関係ない




会いたいの


今すぐ陽生に会いたい


会いたくてたまらない


会ってちゃんと陽生に気持ちを伝えたい


もう一秒も待ってられないの


私はケータイを再び鞄の中に押し込むと


一気に足を前に踏み出した