甘い体温



直輝に即され


強引に渡されたネックレスを受け取ると私はハート形のチャームを指で掴みながら見つめた


だけど別に特に変わった所も無くいたって普通のネックレス



だからこれが何?



直輝が何を言いたいのか分からず


私はネックレスを見つめながらまた首を傾けた


すると



『ばか、そこじゃねー裏だよ裏』



え?裏?


それにバカって…



直輝の言葉に少しむっとしながらも言うとおりに裏を見ると



するとそこには…



あ…



それを見た瞬間私は直輝の方に顔を向けた



『これって…』



直輝に視線を送りながら落ち着きかけた私の体温が再び熱を帯びるのを感じ


じわじわと瞼の周りが熱くなる



『よくやるよまったく…』



そんな私に直輝の呆れ声


だけど私はもう直輝の言葉に反論することもできなかった


ネックレスを掌に握りながら体が小刻みに震える



なんで…



頭の中を支配するのはネックレスに刻まれた



“Selfless Love”



の文字



私が今までずっと信じないと心に誓い避けてきたもの


だけど本当はずっと…


ずっと欲しくてたまらなかったもの




“無償の愛”