甘い体温


だけど私もうかつだった


私としたことがこんな男に隙を見せちゃうなんて…


でもとりあえず、見られたもんはしょうがない


今更この男の頭から私のデーターを消す事なんて出来っこないし


こうなった以上手帳が落ちてたのか、落ちてないのかはもうどうでもいい


もうさっさと手帳を受け取って此処から出たい


この男の傍から少しでも早く離れたい!



『それ、返して!』



私は陽生に向かって強く言うと、手を勢いよく突き出した


もうこんな所一秒も居たくない!!


『早く!』


私は即すようにまた声を荒上げる


『そんなにこれが欲しいの?』


『当たり前でしょ!だからさっきから言ってるんじゃない!!』


『ふ〜ん…じゃあ、欲しけりゃ、こっちまで取りに来いよ』


『はっ?』


『そしたら返す、ほら…』


そう言うと陽生は手帳をひらひらと顔の前で揺らす



『……』


…ムカツク


なんで私がわざわざ取りに行かなきゃいけないのよ!!


そう思いながらも、このままじゃらちがあかないし…



あ〜もう!!



私は渋々ベッドに居る陽生の傍まで行くと、イラつきながらも手を伸ばした