『…っ…うっ…直輝…ごめ…』
私は溢れる涙を堪え切れず両手で顔を覆った
もう溢れる気持ちを抑え切れない
どう頑張っても直輝の気持ちを受け入れることなんて出来っこない
陽生を忘れることなんて私にはできないよ
だって私は
『そんなにあの男が好きか?』
私の気持ちを全て悟ったかのような直輝の声
その言葉に私の涙はさらに深さを増した
好き
もう好きで好きでたまらない
自分でももうどうしようもないほど
陽生のことが好きなの
もう陽生じゃなきゃダメなの
…本当は最初っからちゃんと分かってたのに
忘れることなんかできないことぐらい
分かってたはずなのに
陽生の気持ちはいつも真剣で真っすぐで
私の心に響いてた
ちゃんと伝わってきてたのに
それなのに私は……
『…なおっ…ごめっ……』
自分の弱さにどうしようもなく腹が立つ
でも、それでも
もうどうしようもないの
“愛してる”の陽生のこの言葉だけで私の心は驚くほど優しく満たされる
こんなに気持ちが温かく穏やかになれるんだから…
だからごめん
もう自分の気持ちに嘘は付けない
直輝の気持ちには応えられないよ



