甘い体温


『な!それ…!』


『お前まだ高校生だったんだな…
それにしてはずいぶん大人っぽいのな』


驚く私をよそに、陽生は私の手帳を見ながら意味ありげに笑いかけてくる


『な、何であんたがそれを持ってんのよ!』


そんな陽生にたまらず私は声を荒上げた


確か手帳はカバンの中にしまってあったはず


それなのに


てことは…まさか!!



『あんたまさか…』


『違うから』


『え?』


『別に俺はカバンの中を無断で勝手に見た訳じゃねーよ
ただそこの床に落ちてたのを拾っただけ』


そう言って、落ちてたであろう床を指差した陽生


だけど私は



『…どうだか…』



疑いの目を陽生に向けた


『別に信じる信じないは三月ちゃんの自由、けど…俺はこれっぽっちも嘘なんかついてないから、それに俺、嘘つくのが嫌いな人間だからさ』


陽生はそうスパッと言い切ると、手帳をパタンと閉じた


そしてまた余裕の笑みを向けてくる


………。


私はそんな陽生に不覚にも言葉を詰まらせるしかできなくて…



一体何なのこの男?



怒りが沸々と込み上げてくる


昨日会ったばかりのこの男になんでこんなに自分のペースを乱されなきゃいけないの?


ずかずか人のプライバシーまで覗き込んできて…



冗談じゃない!!