甘い体温


お城みたいな造りの建物から外に出ると冷たい風が体全体に突き刺さる


今は12月の初め


私は少しでも寒さを和らげようとして、コートの襟を立てた


さすがに周りを見渡せば朝の7時を回ってるだけあって、夜の煌びやかなネオンの電飾は無く、華やかさもなければ人もまばら


ここはいわゆるホテル街


さすがにこんな時間帯にこんな所で未成年の女が一人歩いているのは目立つのか、すれ違う大人の嫌な視線をチラホラ感じる



だけどこんな事はいつもの事



あんたらだって真面目な振りしてやる事やってんでしょ


そう心の中で大人をあざ笑いながら、さっそうと自分のアパートまでの道程を歩いた










ガチャ――



アパートに着き、見慣れたドアをいつものように開けると、待ってましたかのようにパタパタ尻尾を振ってキャンキャン茶色い物体が勢いよく走ってきた



『ブラウンただいま…』



その物体を見るやいなや


私はその場にしゃがむと、綺麗な茶色のさらさらの毛並みの体を抱き上げ、クリクリの目を見つめた



『お腹すいた?』



そう呟き、目を細める


『今ご飯用意するから』


私は靴を脱ぐと、ブラウンを抱っこしたままキッチンへ向かった