甘い体温



『そう…なんだ…』


私は弱々しく目を伏せた


婚約者という言葉にあの時の病院での光景が思い浮かび


胸が締め付けられて下唇をぎゅっと噛み締めた



『だからあんな奴やめとけよ…お前らしくもない…
辛い思いするだけなんだよ』


『……』



じわじわと目頭が熱くなり息苦しさに襲われる



改めて他人から陽生のことを聞くと結構きつい…



今まで必死に無理矢理しまいこんでいた感情が溢れだそうとする



やばい、柄にもなく泣きそうになってる自分に気づく



『だからもう忘れろ…そんな顔するな』



そんな私に追い打ちをかけるような直輝のぶっきらぼうでどこか優しい言葉に


震える唇を咄嗟に手の甲で押さえた


ジワリと目の表面に涙が浮かびそうになって思わずギュッと瞼を閉じようとしたその時







『俺が傍に居てやるから…』







耳を疑うような言葉が飛び込んできて閉じかけた瞼が再び開いた





『…えっ…』




驚いて顔を上げた瞬間



腕を掴まれ体をグイっと引き寄せられた