甘い体温



陽生の視線を背中越しに強く感じながら、だけどあえて無視するように、私は真っ直ぐ前を見据えた


震える心を必死で耐えながら、もう早くこの場から…陽生の前から離れたい一心で思いっきり駆けだそうとしたその時――…




『言いたいことはそれだけか?』




背中越しから聞こえた陽生の低い声に、走りだそうとしていた足の動きが思わず止まる



…え?



『それがお前の本心か?』



その言葉に、思わず体が身構える



『そんな一方的で、上辺だけの言葉並べられて、俺が素直に納得すると思ってんのか?』



その言葉と共に、陽生が一歩私に近づいたのを感じて



ドクン”



と、緊張が私の体を駆け巡った


早くここからいなくなりたいのに、どうしてか、体が固まっていうことをきかない



『悪いけどそんな言葉じゃ、俺は納得できねーから』



その瞬間、肩を掴まれ思いっきりグイッ”と陽生の方へ体を向かせられた


そして瞬きする間もなく、陽生の鋭い視線と容赦なく対峙して


その視線に捕われた私は、とっさに息を呑む



『そんなに自分の気持ち押し殺してまで一人になりたいか?』


『え?』


『本当の気持ち隠してごまかして、この先もずっと誰にも心開かず生きてくつもりかよ』



陽生の鋭い視線が、私の瞳を通して強く訴えかけてくる


まるで、私の全て見透かしてるかのように…


そんな陽生の視線に言葉に私は目を大きく見開いた



『…なに…言って…』


『俺はお前のそんな誤魔化しの言葉なんか聞きたいわけじゃないんだよ』


『……』


『俺はただお前の…果歩の本当の気持ちが知りたい、それだけだ』


『…本当の…気持ち?』


『俺のこと振りたいんなら、もっとしっかり俺の目を見て、果歩が思ってる本当の言葉で俺に言え!

俺がちゃんと納得出来るぐらいの言葉をな』



肩を掴む陽生の力が不意に強くなり、無意識に私の体にも力が入る



本当の…言葉?