甘い体温


一気に目の前が真っ暗になったような気がした


私の願いも虚しく、疑惑が確信に変わった瞬間


『……』


体の力が抜けていくのを感じて、思わず開いていた目を伏せた


ドアの取っ手から、するりと手が落ちて力をなくす


どうしてかうまく呼吸を取り込むことさえできなくて


そのせいで、一気に息苦しくなった


目の前は真っ暗なのに、頭の中は真っ白だった


足の力も抜けて、立ってるのもやっとで、少しでも気を緩めたらその場に崩れ落ちそうで


体の力は抜けていくのに、心の中は重りを含んだかのように重苦しい



苦しくて痛い



あり得ないほどの痛みが、私の心臓を鷲掴みにする


苦しさに耐えきれず、とっさに胸の辺りの服をぎゅっと握りしめた


だけど次の瞬間、そんな私にさらに追い打ちをかけるような言葉が、耳に飛び込んできた



『それから昨日話したボストンの件なんですけど、行くなら早い方がいいと思うんです

4月には病院も完成する訳だし、遅くても3月の初めまでにはボストンの方へ移住の手続きをした方がいいと思うんですけど』



……えっ



『いろいろ準備もあることだし、父も是非そうしてほしいって』