私はテーブルの端に、ペットボトルと陽生からの手紙を少しため息交じりに置くと、すぐ傍にある椅子に腰かけた
そして、目の前にあるご飯に手をつける
『…おいし…』
相変わらず陽生の作ってくれたご飯は美味しくて、なんだかほっとする
ご飯が喉を通るたび
何とも言えない温かさが私の体の中全体にしみ込んでいくのを、切ないほど感じていた
『さて、どうしたもんかな…』
私は立ち止まると、目の前のガラス張りの扉をじっと見つめた
目の前の扉には「午前中の診療は終了しました」の看板がかかっていて、鍵がかかっている様子
私は手に持ってるA4サイズの茶色い封筒とドアを、交互に見つめた
もうちょっと早く来るべきだったかな?
う~ん、と考えながら、もう一度目の前のドアに目を向ける
今、私は陽生の病院の前に居る
今日は土曜日で、診療は午前中まで
どうやら、午後の会合に必要な書類を、ホテルの部屋に忘れたみたいで
2時間ほど前に、陽生から病院に持ってきてほしいとメールで頼まれた私は、診療が終わるのを見計らって持って来た
診療中に行くのも邪魔しちゃうかと思って、あえて時間をずらしてきたんだけど、
どうしようか?
これじゃあ、中に入れない
裏口とかも、どこにあるか知らないし
陽生の車もあるから、まだ中には居るとは思うんだけど…
陽生に一度電話した方がいいかな?
そう思い、カバンからケータイを取り出そうとしたその時だった
目の前のドアの中に電気が付いて、突然明るくなった



