次の日の朝
私が起きた時には陽生の姿はなく、もうすでに仕事に行ってしまったみたいだった
眠気まなこのままベッドルームを出てリビングに向かうとテーブルには朝食が用意されていて美味しそうな匂いが私の鼻をかすめる
その匂いを感じつつ、部屋に備え付けてある冷蔵庫からミネラルウォーターを取りだすと、そのままカラカラの喉に一気に流し込んだ
今日は金曜日
今日1日学校へ行けば明日は休みだ
そんなことを思いながら、ふと視線をテーブルに移すと紙切れが1枚置かれているのに気づく
ペットボトル片手に私はテーブルまで歩み寄ると、ペラペラの紙切れを手に取った
そこには男にしては綺麗な文字が走り書きされたように並んでいて…
「おはよう。
よく眠れたか?
俺が居なくてもちゃんとご飯食べて学校へ行けよ
遅刻するなよ
くれぐれも行き帰りに変な人に着いて行かないように
何か困ったことがあればすぐに連絡しろよ
いいな」
さらっと書きつづられた文字に、思わず苦笑いがもれる
あんたは親かよ…
と思わず突っ込みを入れたくなってしまう
どんだけ心配症なのよ…
…だけど……
これだけのことなのに、気持ちがすっと暖かいものに包まれてしまうから不思議だ
自然と笑みが零れてしまう
少しは自分の心配もしなさいよ
昨日だって結局眠りに着いたのは、日付がとっくに今日に変わって頃だし
ちゃんと疲れが取れてるのか、心配になる
ただでさえもういい年なのにさ…
こんな朝食までご丁寧に作ってくれちゃって
いくらなんでも甘やかしすぎでしょ
こんなに甘やかされたら、いつか本当に陽生から離れられなくなりそうで怖くなる
こんな関係がずっと続いて欲しいと、本気で思い始めてる私がなんか怖い
「ずっと」なんて、そんな言葉あってないようなものなのに
そんな形のないものを求めてしまうこと、私が一番嫌ってたはず
それなのに…



