『え?お兄さん?』
後ろから私を抱きすくめて話す陽生に私は思わず聞き返した
私は今陽生にもたれるようにベッドの上に座り、足を投げ出している
そんな私を後ろから包み込むように、抱きすくめている陽生
私は掛け布団をお腹の辺りまでずり上げると、陽生の次の言葉を待った
『ああ、その一番上の兄貴が今親父の後を継いで社長としてやってるんだ』
陽生は後ろに顔だけ向けた状態の私に応えるように、言葉を向ける
『て、いっても親父もまだ引退した訳でもないし、バリバリ働いてるから社長って言っても兄貴の今の立場は親父の補佐みたいなもんだけどな』
『…ふ~ん、そうなんだ』
そっか、上に静香さん以外にお兄さんがいたのか…
『そのお兄さんは何歳なの?』
『あ~、兄貴か…そうだな確か俺より6歳離れてるから今年35になるんじゃないか?』
『結構離れてるんだね……』
『まあ…、ちなみにここのホテルのオーナーは兄貴だ』
『え?そうなの?』
『ああ…ここ以外にも何店舗か兄貴が管理してるみたいだけど』
『…そうなんだ』
『まあ、でも正直俺は元々親父の仕事にはまったく興味無かったし、継ぐ気なんてさらさらなかったからどうでもいい話だよ…』
陽生はそう言うと、溜息混じりに呟いた
その声は本当にどうでもいいような声で、全く興味がないって感じ
『ふ~ん?そっか…でも、陽生のお父さんは陽生に継いでほしいとか言わなかったの?』
『別に…俺と姉貴は最初っから継ぐ気はないってあえて言ってあったからな…
だから俺が今の職業を選んだ時も特に何も言われなかったけど?
それに長男の兄貴が継ぐの分かってたから俺が何しようと別に何でも良かったんじゃね?』
陽生はそこまで言うと、さっきよりもあからさまに心底嫌そうに溜息を吐いた



