甘い体温


『果歩……』


名前を呼ばれ、少し緩んだ陽生の腕から導かれるように私は顔を上げた


見上げた先には、真っ直ぐ私を見つめる陽生の瞳が目の前にあって


その瞳は今まで見た中で一番優しく私を映しだしていた




『好きだよ』




陽生の形のいい唇が優しく優しく私の唇を塞いだ



もう


心臓、壊れるんじゃないかと思った


今まで幾度となく言われてきた「好き」の言葉


こんなにストレートに私の中に入ってきたのは初めてで


こんなに嬉しくて苦しいものだなんて初めて知った


体中に陽生の気持ちが容赦なく突き刺さって、私の心をかき乱す



嬉しくて切なくて苦しくて



陽生が望むならもうこのままずっと、この腕の中に閉じ込められてもいいと本気で思ってしまった


陽生にならこのまま壊されてもかまわないと…


そんな自分の気持ちを込めながら陽生の背中に強く腕を回し、優しく降り注ぐ陽生のキスを私は精一杯受けとめ返していた―――



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――――――…





『俺にはな、姉貴ともう一人一番上に兄貴がいるんだよ』


『え?』


薄暗い静かな部屋の中で、陽生の声がポツリ響いた