甘い体温



『は、はるき?!』


陽生の腕の中にすっぽり収められた私は、慌てて陽生の胸を押し返そうと力を入れた


けれどそれ以上に、陽生の私を抱きしめる力が強くて、逆にもっと引き寄せられてしまう


そんな陽生の不可解な行動に、さすがの私も戸惑いを隠せない


しかもお互い裸のままで抱き合ってるから、ダイレクトに陽生の肌の感触が伝わって、一気に恥ずかしさで鼓動が速くなる


陽生に抱きしめられたまま、息をひそめて、必死で波打つ鼓動を落ち着かせようとしていたら




『お前といると落ち着く…』


『えっ』



突然耳元で陽生の低い声を感じて、体が思わずびくっと強張った



『お前といる時が一番落ち着くよ』



今まで聞いたことない、陽生の切なげな声に、ドキンと体が疼く


さっきより一層強く抱きしめられて、体全体が熱で包まれる



…陽生?



『はぁ…やべ〜な』


『え?』


『まじで手放したくねぇ〜』


『……』


『このままこうしてずっと、俺の腕の中だけに閉じ込めてたいよ』



陽生のさらりとした前髪が私の右肩に触れて、私の気持ちと一緒にくすぶる


ぎゅうっと抱きしめられながら、陽生の鼓動が大きくなったのを感じた